ここ福岡では3月末ごろから一気に薔薇の新芽が吹き始めました。
今年も消毒の時期が始まりました。今年はどのように計画して進めようかな?
皆さんはもう始めていますか?どうやって計画していますか?
薬のローテーションもした方がいいと聞きますが、どうやってローテーションを組めばいい?
わかるようなわからないような…お店の方のおすすめの通りでと言う方も多いと思います。
初めてでもわかりやすい殺虫殺菌剤の選び方とローテーションのこと、お伝えできたらと思います。
薬の選択について
いろんなメーカーからいろんな名前の薬がありますが、いったいどうやって選べばいいのか?
名前は違うけれど作用が一緒のものがあるというけれど、どれが一緒でどれが違うのかはわからない!って思っていませんか?
業者の方が、3つのローテーションパターンの組み合わせを紹介してありますが、なぜその組み合わせなのか?
理由が理解出来たら、自分で自由に組み立てられますよね。
そこで、よく使う薔薇の殺虫剤・殺菌剤をわかりやすくまとめてみることにします。
ローテーションする理由
薔薇はよく「黒点病」や「うどん粉病」にかかります。
そのために薬を散布するわけですが、同じ薬を使うと耐性菌が出てきます。
その耐性菌の発生をさせないために、また薬の効果を維持させるためにローテーションは必須のこととなります。
3つのローテーションが必要な理由
なぜ3つなの?2つでもよくない?と思う方もいらっしゃるかと思います。
2つでも効果はありますが、3つのほうが圧倒的にリスクが低いということです。
2つではなく3つあったほうが良い具体的な理由は
・「耐性菌」を逃がさないため
薬剤AとBの2つだけで回していると、もし「AにもBにも少し強い」という個体が現れた場合、一気に増殖してしまいます。3つ目の系統(C)があることで、AとBの包囲網を抜けた菌を別の角度から仕留めることができ、耐性菌の発生確率をぐんと下げられます。
・「散布回数の上限」に余裕ができる
ほとんどの農薬には「年間で使える回数(例:3回まで)」という制限があります。
- 2つの場合: 春から秋までの長いシーズン、10日に1回撒いていると、すぐに回数上限に達してしまい、一番病気が出る梅雨明けや秋口に「使える薬がない!」という事態になりがちです。
- 3つの場合: 1つあたりの負担が減るため、シーズンを通して計画的に守りきることができます。
・「予防」と「治療」の役割分担
バラの薬には大きく分けて2タイプあります。
- 予防剤: 表面をバリアして菌を寄せ付けない(例:ダコニール)
- 治療剤: 侵入した菌を中から退治する(例:サプロール)
2つだけだと「予防+治療」の組み合わせになりがちですが、3つあれば「予防+治療A+治療B(系統違い)」のように、病気が出た時のバックアップが手厚くなります。
以上の理由で3つのローテーションパターンを考えていきましょう。
殺虫剤について
殺虫剤はIRACコードというものがあって、それはよく系統とよんでいるものです。
系統が一緒=IRACコードが同じ なので、ローテーションを3つ選びたい時は3つの系統、すなわちIRACコード3つを選ぶといいというわけです。
| IRAC コード | 農薬系統名 | 作用機構 | 主な農薬 |
| 1B | 有機リン | 神経作用 | オルトラン・スミチオン・マラソン |
| 3A | 合成ピレスロイド | 神経作用 | ベニカS乳剤・アディオン乳剤・ベニカR乳剤 |
| 4A | ネオニコチノイド | 神経作用 | ベニカ水和剤・モスピラン・ダントツ・ |
| 6 | アベルメクチン | 神経筋肉作用 | アファーム |
| 10B | エトキサゾール | IGR | バロック・カスケード乳剤 |
オルトランとスミチオンを持っていても、これらは同じ系統なのでローテーションを組めません。
オルトランとスミチオンのどちらか一つに他のIRACコードが違うものを選ぶ必要があります。
例えば、オルトラン・ベニカR乳剤・モスピランの3つでローテーションを組むという風にします。
殺菌剤について
殺菌剤はFRAC コードで分類されます。
殺菌剤と同様にローテーションをする時は、このコードが違うものを選ぶといいわけです。
また、殺菌剤は病気の予防のため?治療のため?その効果によって薬を選ぶ必要があります。
薬の特徴はきちんと調べておくのが大切ですね。
| FRAC コード | 農薬系統名 | 効果 | 主な農薬 |
| M03 | 有機硫黄 | 予防 | ジマンダイセン水和剤 |
| 1 | ベンゾイミタゾール | 予防・治療 | トップジンM水和剤・ベンレート水和剤 |
| 3 | EBI | 予防・治療 | サプロール乳剤・サルバトーレME ラリー乳剤・トリフミン水和剤 |
| M05 | 有機塩素 | 予防 | ダコニール・オーソサイド |
| 9 | アニリノピリミジン | 予防 | フルピカフロアブル |
| M01 | 有機銅剤 | 予防 | サンヨール |
| UN | 物理的阻害 | 治療 | ハッパ乳剤 |
よく耳にする「サプロール」は「サルバトーレME」とおなじRACコード”3”なので、ローテーションにはどちらか一つしか入れることができません。(*IRACコードとFRACコードをRACコードと呼びます。)
「サプロール」を購入したら「サルバトーレME」は必要ありません。
せっかく買っても使えないともったいないので、購入する時は手持ちのもののRACコードを確認することがとても大事になりますね。
手持ちの薬品
自作の「バラノート」のカレンダーに書き込んでいる作業や薬を確認して、薬品の在庫をチェックしました。
このノートには薔薇1本づつの特徴などもまとめて、いつどこで購入したなどの記録もまとめています。

殺虫剤と殺菌剤
RACコードの違うものを3ローテーションするために3つの種類を用意しています。( )はRACコードです。
手持ちの殺虫剤は、モスピラン(4A)・アファーム(6)・オルチオン(1B)
殺菌剤は、フルピカ(9:予防)・サルバトーレME(EBI:予防治療)・トップジンM(1:予防治療)・ジマンダイセン水和剤(M03:予防)
以上が私の手持ちの薬剤です。
展着剤
私はアプローチBI・アビオンEの2種類を使っています。2本の使い分けは雨が心配な時は「アビオンE」、病害虫が見つかった時は「アプローチBI」を使うことが多いです。
展着剤は、主に3種類に分けられます。
| 種類 | 特徴 | 商品名 |
| 一般展着剤 | 付着・濡れ性向上 薬剤をしっかり定着させ、流出を防ぐ 低コストで幅広い農薬に利用可能 | ダイン |
| 機能性展着剤 | 浸透・速効性向上 薬剤を葉の裏や植物の体内、害虫の内部まで浸透させ広げる 相性のいい薬:トップジンM | アプローチBI まくぴか (シリコン系) |
| 固着剤 | 耐雨性・残効性向上 粘着性があり長時間葉面に薬剤を残す。雨で薬剤が流出しにくい 相性のいい薬:フルピカ・サルバトーレME | アビオンE スカッシュ |
「まくぴか」は使ったことがありませんが、開花時の薬剤散布には、花に影響が少なくおすすめだということです。
ローテーション作成
手持ちの薬剤を並べて、特徴を考えてからどういうペアにするか検討しました。
| 1 | 2 | 3 | |
| 殺虫剤 | モスピラン | アファーム | オルチオン |
| 殺菌剤 | フルピカ | サルバトーレ | トップジンM |
今年の組み合わせはこの3通りでいくことにしました。
オルチオンはオルトラン&スミチオンの有効成分を混合したものです。
春のこの時期は雨も多いので、最初に予防効果の高いフルピカにすることにしました。
それぞれ特徴があるので、薔薇の状況によって順番を入れ替えることはあるかもしれません。
同じものを続けて散布しなければ、耐性菌が出ることもありません。
展着剤は1回目は「アプローチBI」にしました。非常に高い浸透促進力があるので薬液が細かい隙間まで回り込んで隠れている薔薇ゾウムシに直接かかりやすいという理由からです。
展着剤は耐性菌が出ることはないので、使う時にどれを使うか決めることにしています。
余談ですが、以前ダコニールを使っていましたが、これは気温が25度以上になると使えない薬剤です。
1年に使える機会が少ししかなく結局期限切れになって捨てることになるので、気温に左右されないものに変えました。
薬剤を混ぜる順番
展着剤を入れる順番は、基本的に「一番最初」です。
水に溶けにくい農薬(粉末の水和剤など)を後から入れたとき、先に展着剤が水になじんでいることで、薬がダマにならず均一に混ざりやすくなるからです。
薬剤を混ぜる理想的な順番(「テ・ニ・フ・ス」)
バケツや噴霧器に水を入れた後、以下の順で投入します。
- テ:展着剤(アビオン-E、アプローチBI、まくぴか等)※まず水に溶かして、その後の薬が混ざりやすい環境を作ります。
- ニ:乳剤(液体で油分を含むもの)
- フ:フロアブル剤(フルピカ、サルバトーレMEなど)
- ス:水和剤・水溶剤(トップジンMなどの粉末)
ただし、次のケースでは一番最後に入れます。
泡立ちやすい展着剤を使うとき
最初に入れると、かき混ぜた際に泡が立ちすぎてしまい、規定量の水が入らなくなったり、散布しにくくなったりすることがあります。この場合は、農薬をすべて溶かしきった最後に静かに入れて混ぜます。
アプローチBIなどの浸透促進剤
メーカーや製品によっては、薬剤をすべて溶かした後の「仕上げ」に入れることを推奨している場合もあります(泡立ち防止のため)。
基本は最初、泡立ちが気になるなら最後、と覚えておくとスムーズです。
さいごに
薔薇の消毒のローテーションは、RACコードを見て決めると間違いありません。
今はいろんなことが検索できるので、「RACコード」と検索するとすぐにわかります。
薔薇は生き物ですから、状況によって対応も変わってきますので、臨機応変に対応して素敵なバラの花を咲かせたいものですね。
今年の連休明けに素敵なバラに会えますように!!
皆さん頑張りましょう!


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