トールペイントではほとんどの方がアクリル絵の具を使って作品を描いています。少し前からはオイル作品を描く方も増えてきましたが、オイルは敷居が高いと思っている方も多いように見受けます。
今回はほぼ同じ図案をアクリル絵の具とオイル絵の具の2種類の絵の具を使って描いてみました。
オイル作品


素材:シナベニアカットアウト
オイル絵具:ウィンザー&ニュートン
バックグラウンド(背景のベース):全体をアクリル絵の具で塗った後、シルクスクリーンを使って模様を入れました。


デザインは弓部玲子先生のブルーのバラのデザインを使わせていただきました。
紫の薔薇の花はオリジナルの花です。
色は私のオリジナルミックスです。
アクリル作品


素材:木片を細かく砕いて熱圧形成した素材
絵具:セラムコート・アメリカーナ
バックグラウンド(背景):アクリル絵具で塗った後シルクスクリーンをしたもの(白い部分は素材のまま)
オイル作品で使用したデザインをそのまま使って(一部アレンジ)描いてみました。
オイルとアクリルの違い
ここでは簡単な違いのみ書いておきます。具体的なことはまた別の記事にまとめてみたいと思います。
絵具について
オイル絵具は自分で色を作って使います。絵具をそのまま単色で使うことはあまりありません。
それに対して、アクリル絵の具は様々な調合された色がメーカーから数100本販売されていますので、欲しい色使いたい色をその中から選んでそのまま使うことができます。もちろん自分で色を混ぜ合わせて作ることもできます。
絵具の長所について
オイル絵具の長所
- 乾きが遅い(時間ををかけて作業・ブレンドできる)
- 艶、透明感がある
- 絵具の本数が少なくても好みの色が作れる
アクリル絵の具の長所
- 乾きが早い(次の作業にとりかかりやすい)
- 水彩絵のようにも油絵のようにも描ける
- 乾くと耐水性、耐久性、耐光性が高くなる
- ガラスや石、木材など紙やキャンバス以外の場所に描くこともできる
- 水溶性なので片付けが簡単
絵具の短所について
オイル絵具の短所
- 乾きが遅い(次の作業に行くまでに時間がかかる)
- においがきつい
- 道具を揃えるのに費用がかかる
- 道具の片付けが面倒
アクリル絵の具の短所
- 乾きが早い(グラデーションなどの作業が難しい)
- 濡れている時より乾くと色が暗くなる
- メディウムを上手く使う知識が必要
作品を比較
オイル絵の具とアクリル絵の具の違いを知って、双方の作品を見比べるとどうでしょうか?
オイル作品の方が艶や透明感があるように見えませんか?
アクリル絵の具で描いた薔薇は、ハイライトの色が思ったように入らず、何度も同じ作業を繰り返しました。また、ピンクのバラの花弁の付け根(白い明るい部分)のグラデーションは、ダブルロードで何度も色を重ねる必要がありました。
オイル作品はその長所の通り、グラデーションがとてもスムーズにできるので、花弁の微妙な色の変化が付け易いので、作品も微妙な色の変化が表現されていると思います。
アクリルの紫の薔薇は、オイルの色とちょっと違ってしまったうえ、ハイライトが思ったよりも入ってなかったように思います。かなり頑張って入れたつもりでしたが、乾くと色が暗くなるのでもう少し明るいハイライトを入れるべきでした。
まとめ
今回の作品は、まずオイル作品を2種描いた後、アクリル作品を描きました。
オイル作品では自分の望む色を作るわけですが、アクリル作品ではオイルで作った色を見ながら手持ちのアクリル絵の具を選びました。
アクリル絵の具は、シェイド(影)の色とハイライトの色が必要になってくるので、手持ちの絵具の中からそれを見つけるのが意外に大変でした。絵具が数100本あるわけですので。
ただ、ベースの色が決まったのにシェイドの色がわからないと思う方は、オイル作品を描いてみると色がよく見えるようになるのではないかと思います。
オイル絵具。アクリル絵の具双方とも長所短所がありますが、自然なグラデーションを楽に描きたい人はオイルはとてもおすすめです。いろんな素材に短時間で描きたい場合はアクリルの方がいいかもしれませんね。
どちらにせよ、楽しく描いていきましょう!
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